オランダ珍道中 13

<マイネ・フィッサーのアトリエ>

このアトリエの住所は、親しくさせていただいているヒンデローペンの先生に教えていただいた。そのおかげで旅行代理店を通してアポイントメントを取ることができた。休業日にきてしまったのだから、アポを取っていなかったら1件もアトリエを見ることはできなかっただろう。アトリエの前に立ちその事に心から感謝した。
フィッサー氏に挨拶をして、ショップを見学させていただき、€185の振り子時計を1つ記念に買った。彼の作品はとても華やかでシックで思っていたより絵に勢いがあり、アバウトな下書きの上に、おおざっぱに描いたベースを計算されたライナーワークで補正し効果的な明暗を作り上げていた。やはり素晴らしい。
このような描き方を身につければ早く描けるだろうと思う。

フィッサー氏は買い物後に自宅と工房を案内してくれた。自宅のリビングのショーケースには思い出の品々が飾られていた。その1つ1つを丁寧に説明してくれた。壁には彼が描いた素敵な油絵が何点か掛けられていた。
林の中に白馬がたたずむ幻想的な絵で、ヒンデローペンの作品のイメージとは全く違うものだった。

木のヒンデローペンブルーのキッチンにはヒンデローペンの装飾が施されていて素敵だった。が、シンクの小ささに驚いた!B4くらいのサイズしかない!小さい!日本のシンクの半分たらずだ。電車の中で目撃したランチを思い出した。きっと料理しないから大きなシンクは必要ないのだろう。キッチンには塩もスパイスも食器も何一つ出ていなかった。オランダに長年住んでいた私の先生の言葉も思い出した。オランダは質素な国で食事はパンとチーズとハムだけ。切って並べるだけで、ホリデーの時以外はあまり料理をしないと言っていた。そして、お子様のお誕生会で唐揚げを出したら誰一人手を付けず、なぜかと質問したら「お肉は普通の日には食べないから」と答えたそうだ。なるほどそうだろう・・とうなずけるキッチンだった。飼っている豚鼻の猫が可愛かった。フィッサー氏にとても良く似ている猫だった。(決して悪い意味ではない。ペットは飼い主に似るものだ)

珍道中日記12

歩行者専用道路を歩く歩く。まっすぐどこまでも果てしない道。道の右側には水路、左側には草原。何かの畑の様だがまだ何も生えていない。水路にはカモメや何種類かの鳥がいるが可愛いと思う心の余裕はなく駆け足に近いくらいの速さで私達は歩いた。雨が顔にあたったが傘をさす余裕もなかった。
遠くに家の固まりが見え始めた。写真で見覚えのあるチャペルの塔が見えた!!やった!!たぶん方向は合っているのだろうが、まだ果てしなく遠い。

家並みが近づいてきた。たぶんこの中のどこかにフィッサーのアトリエがあるのだろう。やっと人と会った。人に会えることがこんなに嬉しいと思う経験は初めてだった。その人を捕まえてフィッサーの店の写真を見せて店の位置を教えてもらい、やっと探し当てた!!思っていたより小さい店だったが、いつも写真でみていた彼の華やかなヒンデローペン作品が沢山飾られている彼のアトリエがとても愛らしく感じた。駅から40分ぐらいだったようだ。時間に間に合ってよかった。駅に降りた時は本当に慌てた。歩いたら何分くらい掛かるのか・・・ぐらいの情報は調べておくべきだった。自転車の女の子に感謝し、息切れを抑え落ち着く為にアトリエを少しやり過ごして休憩した。落ち着いて見回すと人が少ない。店が全部閉まっている。他のヒンデローペンのショップも全部閉まっていてヒンデローペンミュージアムも閉まっているではないか!!土日は休業だったのだ!!代理店!休業日を調べといてくれ~~!せっかくここまで来て、他の職人の5軒のショップのブーツマも、ローシェもミュージアムも観れないなんて!なんちゅうこっちゃ~~~~~~~。教訓その3! ヒンデローペンには平日に行くべし!今更笑える。でもショップで買い物することが私の目的ではないので、驚いたが実際はそれほど痛くはなかった。私はこの街に会いに来たのだった。

2006年オランダ珍道中日記11

3月25日 土曜日(3日目)憧れのヒンデローペンへ

憧れのヒンデローペンに行くのに、雨の予報を知らせている。8:00現在、曇っているがまだ降ってはいない。
昨晩シャワー事件で夜更かししたので、今朝はゆっくり8:00に起きた。細いベットの寝心地は良かった。重いトランクを引きずって歩いたので身体じゅうが痛い!!バキバキだ。

11:22 ヒンデローペン行きの電車に乗る。1車輌の田舎行きのトレインだ。そこまでいくつの駅が在るのか解らず隣に座ったお姉さんに尋ねたら、自分が行く2個先の駅は知っているけど、その次からは知らないと言う。オランダ人は呑気だ。でも、そのお姉さんが他の乗客たちに聞いて歩いてくれた♪親切にありがとう!6駅目らしい。少しはしると車窓から風車が見えた!憧れの風車と初対面!太っ!思っていたより太い!
停車駅を確認できたのでほっと一息。これからアポを取って会いに行くマイネ・フィッサーへの挨拶を考えておこう。

ヒンデローペン駅下車。。。。!!!!!!
何も無い!!!!草原のど真ん中の!!無人駅だ!!!
ホテルのコンシェルジュにタクシーが拾えると言われたが、人なんて居ない!家も無い!見渡してもヒンデローペンンのヒも感じられない。居るのは駅の周り360度に広がる草原に数千羽のガンス(ガチョウ)だけ!!
旅行代理店もタクシーに乗ればいいと言った!!!そんなもん何処に居るのさ~??!!この時ついに代理店への信頼は地に落ちた。と、その時、小学校6年生くらいの女の子が自転車を電車から降ろし、私達の脇を走り去ろうとしていた。唯一の人間!待って!!!ヒンデローペンの方向を教えてもらうのはこの子しかいない。捕まえなければ!‘わらをもすがる’とはまさにこのことだ。ヒンデローペンはどこ?と英語で聞いてもキョトンとしている。マイネ・フィッサーのアトリエの写真をみせたら首をかしげて遥か彼方を「あっち」と指差した。オランダ語だから言葉は解らないが、指差したほうがそうだろう!こんな所で方向を間違ったら大変なことになる。その答えだけでもありがたかった。しかし、あっちの方向・・・3キロは家が無く遥か彼方に小さな家かもしれないような粒が見える程度だ。マイネ・フィッサーとの約束の時間まで1時間しか無い。果たして間に合うのか?!フィッサーのアトリエがどこにあるのかも解らないのだから。

2006年珍道中日記10

<ホテル>
部屋に戻り、買ってきたご馳走を広げた。ドレッシングがとても安く美味しかったので明日もレタスを買ってこよう。イチゴのピンクのケーキを一切れだけ怖い物見たさで買ってきたが、見た目どおりピンクの味だった。もう二度とオランダのケーキは買わないだろう。トマトのカップスープが美味しくて妹がハフハフ飲んだら口の中を火傷してヒーヒー言っている。身体が冷えていたから早く暖めたくて飲んだのは解るけど、その後のパンが食べられなくなってしまうのではアホだ。美味しいパテだったのに。

部屋のヒーターがすぐには効かず寒い。疲れと満腹のせいでうたた寝をしたら身体が冷え切ってしまった。
妹はお風呂に入っている様だった。と、悲鳴が聞こえてきた。別にいつもの事で私は飛び起きたりしない。悲鳴の訳は、シャワーの根元から水が勢いよく噴き出したからだった。水も茶色!その事を叫んでいたのだった。
待てよ・・・、ということは、その水でコーヒーとトマトスープを作って飲じまったじゃないの!げげげ。
妹が怒ってフロントに電話し、部屋を変えてもらうことにした。(英語を使う時は妹の出番。)茶色の水はシャワーのせいではないので、これから3日間この色と付き合うことになるだろう。明日はミネラルウォーターを沢山買ってこなければ。
レーワルデンの水が飲めないことは旅行代理店から聞いてなかった。疲れていると怒りの矛先は人に向けられる。旅行代理店は日々悪者へと変わっていくのであった。

AM.3:13
今日は夜更かししてしまった。細いベッドで寝よう。何で大柄の人種の国なのにベッドが細いのか??60センチ幅くらいしかない。ホテルだから?と思っていたらテレビで同じサイズのベッドをゲストに用意している家族の様子を見た。この国の習慣らしい。妹が「手がサイドに落ちちゃうわ!」とブツブツ言いながらコロリと寝た。

2006年珍道中日記9

雨が降っているのに、みんな自転車に乗り、歩いている人も顔色一つ変えずに傘をささずに歩いている。傘をさしているのは私達だけで、すぐに観光客とわかりそうで閉じたりしたけど、やはり濡れるのは耐えられなかった。
「お登りさんで何が悪い?!」と開き直って、ピンクとブルーの傘をさして、お登りさんでこの街を楽しもうと決めた。

フリースミュージアムまで15~20分・・やっと見つけた!道路のそこここに道案内は出ているが方向音痴ゆえに少し迷った。受付のおばさんが、ロッカーを使ってと言った。そんなに私たちの荷物が重そうに見えたのか?と思ったら、拝観するのに手荷物は厳禁だった。あと30分しかないので急いで観て回った。
ヒンデローペンの古い作品や、村の文化の部屋があり、感激!!!本で目にしていた物だったけど、実物は温もりがあって素朴でそれらを確認できたので良かった。
生徒さんへ送る葉書を館内で20枚買い外へ出た。葉書€0.8(0.8ユーロ  €1=当時160円)入館料は高いが、葉書は安い。
街は色々な専門店があって楽しい。街並みを揃えているようで小さな店がきれいに整列している。夕食の調達はスーパーマーケットを探し、飲料とハムとパン、ケーキ、カットレタスとドレッシングなどを購入した。
今回の旅行は貧乏旅行なので朝食のみホテルで取り、それ以外の外食はしない。私達は美食家ではないので外食しないことを別段悲しくも感じなかったし、スーパーで食べたい物を買うことが楽しかった。
オランダはハムが安く€1.25(¥200程度)で高級生ハムが買える。種類も沢山あり楽しい。チーズは安いとは言えないけれど高級なものは日本では3~4倍するので話の種に色々食べてみる価値がある。白ヤギのチーズだけは安く庶民のチーズらしいが臭い。パテは安くて美味しい!全部買って行きたい衝動を抑えつつ店を出た。
広場のカメラ屋の1日プリントで写真を出した。明日はヒンデローペンに行くので取りに来れないから翌日に取りに来ると言ったら、日曜日は休業だと言われ、月曜日は次の街へ移動だが午前中に取りにくることに決めた。これが後になってわざわいすることを知らず・・・。

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